CData Arc 2024.Q4 アップデート - ArcScript の機能強化(messageRead オペレーション等)

CData Arc 2024.Q4 アップデート - ArcScript の機能強化(messageRead オペレーション等)

こんにちは。CData Software Japan の色川です。

先日リリースされたArc 2024.Q4 アップデート(24.3)では、データ連携フローの構築・実行・運用を支える管理コンソールのUI/UX や、Arc の中核を担うXML Map コネクタを中心に大きくアップデートされましたが、それ以外にも数多くの機能追加や機能改善が実施されています。

この記事では、それらの中から、Arc のローコード機能を担う「ArcScript」で実施された機能追加や機能強化についてご紹介します。

ArcScript

CData Arc は、ビルディングブロックとして用意された豊富なコネクタをノーコードでフローとして組みあわせることで、複雑性の高いB2B データ連携シナリオもシンプルに実現できるようにデザインされています。実際にご利用いただいている多くのシナリオにおいても、このArc のノーコード機能のみでシンプルかつ安定的に日々のB2B 連携を実現いただいています。

ただし、各企業固有のビジネスルールやロジックなどを必要とする一部のエッジケースにおいては、Arc のコネクタ設定で用意された振舞い以外を、細かく組み上げたいケースも稀に存在します。このような時に活躍するるのがArc のローコード機能であるArcScript です。

ArcScript はArc に標準でビルトインされているXML ベースのスクリプト言語です。ArcScript を利用すれば、自由度の高いファイル編集や変換、外部メッセージフローのトリガー、標準形式に容易にフィットしないカスタムデータのモデル化、外部スクリプトやプロセスの実行などを行うことができます。ArcScript はデータアクセスおよびプロセス処理のあらゆる側面の管理を可能にするハイレベルなプログラミング言語です。

ArcScript

ArcScipt をはじめて触れるときには、こちらのヘルプトピックナレッジベースが便利です。

2024.Q4 アップデートで強化されたArcScript 機能

それでは、2024.Q4 アップデート(24.3)で強化されたArcScript の機能群をそれぞれ紹介していきます。

今回のアップデートでは、ArcScript に新たなオペレーションとフォーマッタが加わり、一部のフォーマッタが機能強化されています。ArcScript のオペレーションは、ファイルI/O やプロセス実行などを筆頭に複雑で高度なタスクに利用できるスクリプトコンポーネントです。ArcScript のフォーマッタは指定したデータ値の操作や書式の設定などを担う、いわば関数のようなコンポーネントです。

messageRead およびmessageReadLine オペレーションの追加

今回のアップデートでは新たに「messageRead」と「messageReadLine」オペレーションが追加されました。この2つのオペレーションはその名前の通り、処理対象となっているメッセージ項目の内容を読み取ることができるオペレーションです。

オペレーション 機能の概要
messageRead メッセージ項目の内容を読み取って単一の文字列として取得する
messageReadLine メッセージ項目の内容を行ごとに読み取って一行ずつ列挙する

messageRead およびmessageReadLine オペレーションの追加

従来からArcScript を活用いただいている方は「FileRead」と「FileReadLine」オペレーションに近い印象を持って頂けるかとも思いますが、まさにその通りです。

構文的には、FileRead オペレーションなどで必須パラメータとなる「file」が不要になる(処理対象となっているメッセージが暗黙的に対象とされる)事で、よりシンプルに記述頂けるようになっていますが、これらのオペレーションの効用はそれのみではなく、処理対象がメッセージに限られる(セキュリティ水準が向上する)事で、Arc のセキュリティ設定が厳しく構成されている場合でも利用することが可能です。

messageRead およびmessageReadLine オペレーションの追加

例えば、SaaS 提供のArc Cloud(デフォルトのセキュリティ構成)においても「messageRead」や「messageReadLine」オペレーションは有効に利用いただけます。

messageRead およびmessageReadLine オペレーションの追加

jsonsubtree フォーマッタの追加

今回のアップデートでは新たに「jsonsubtree」フォーマッタが追加されました。この「jsonsubtree」フォーマッタはネストされたオブジェクト構造を持つJSON データから、JSONPath で指定したサブツリー部分をパースして取得できるフォーマッタです。

jsonsubtree フォーマッタの追加

従来からArcScript を活用いただいている方は、ネストされたノード構造を持つXML データからxpath で指定したサブツリー部分をパースして取得できる「xsubtree」フォーマッタのJSON 版が搭載された、と捉えていただけるとイメージ頂きやすいかも知れません。

例えば「RESTful なAPI に対して、Arc のREST コネクタでリクエストしたときに返されるJSON 形式のレスポンスをJSON 形式のまま編集・加工したい」ような場面で便利に活用いただけるフォーマッタの1つになりそうです。

vault フォーマッタの機能強化

Arc のVault は、Arc の設定に利用する値を集中的に管理(再利用)できる機構です。従来からArcScript ではVault の値を参照できる「vault」フォーマッタが提供されていましたが、今回のアップデートで「指定した名前を持つVault アイテムが存在しない場合に、取得される値」を指定できるオプションパラメータが追加され、その機能が強化されました。従来「指定した名前を持つVault アイテムが存在しない場合」にはエラーがスローされていましたが、この振舞いをよりキメ細かくコントロールできるようになったイメージです。

vault フォーマッタの機能強化

これにより、例えば「複雑なマッピングロジック等において、特定の名称を持つ値の場合にはVault で管理している値を利用したいが、それ以外の場合は別の値を指定したい」などのシナリオもカバーできるようになっています。

まとめ

この記事ではArc 24.3 に含まれる数多くのアップデートの中から、Arc のローコード機能を担う「ArcScript」で実施された機能追加や機能強化についてご紹介しました。

Arc のパワフルなノーコード機能を使えば、多くのB2B 連携シナリオをシンプルに作成・運用することができますが、各企業固有のビジネスルールやロジックを必要とするようなエッジケースではArc のローコード機能であるArcScript も活躍します。

今回のアップデートでは、データ連携フローの構築・実行・運用のそれぞれを効率化する数多くの機能強化が施されています。詳しく知りたい方はリリースノートもぜひあわせてごらんください。

CData Arc はシンプルで拡張性の高いコアフレームワークに、豊富なMFT・EDI・エンタープライズコネクタを備えたパワフルな製品です。CData Drivers との組み合わせで270を超えるアプリケーションへの連携を実現できます。

皆さんのつなぎたいシナリオでぜひ CData Arc を試してみてください。
CData Arc - セキュアなデータ連携とマネージドファイル転送(MFT)

製品を試していただく中で何かご不明な点があれば、テクニカルサポートへお気軽にお問い合わせください。

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この記事では CData Arc™ 2024 - 24.3.9133.0 を利用しています

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