FJcloud-O上でCData SyncとAPI Serverを使ってみた

by 大川智久 | 2022年06月27日

こんにちは。CData Software Japanの大川です。

今回はFJcloud-Oの環境上にWindows ServerやRed Hat Enterprise Linuxのマシンを構築して弊社CData SyncおよびAPI Serverを動かしてみましたので、手順についてご紹介します。

FJcloud-Oとは

FJcloud-Oは、富士通が提供している基幹システム向けの国産クラウド環境です。

https://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/fjcloud/-o/

30日間の無料トライアル環境が利用可能ですので、今回はその環境にて弊社製品の動作検証をしてみました。

構築環境全体図

今回構築する環境の全体図は以下のとおりです。

内部ネットワーク上にWindows Server、RHEL8の仮想マシンを構築し、それらに弊社製品をインストールしてインターネット上の端末から利用できるようにしてみます。

構築手順

それでは実際の構築手順をご紹介します。

仮想ルータ作成

今回はインターネットからサーバ上のサービスに接続できるようにするために、外部ネットワークと内部ネットワークをルーティングする仮想ルータを作成します。

「ネットワーク」「仮想ルータ」の順にクリックします。

仮想ルータ一覧の画面で「+」で作成画面に移ります。

仮想ルータ名に「demo_router」、外部仮想ネットワークに既存の「fip-net」を選択し、「作成」をクリックします。

すると、以下のように仮想ルータが作成されます。

後の工程でこれを内部ネットワークにアタッチします。

内部ネットワーク作成

サーバを接続する内部ネットワークを作成していきます。

「ネットワーク」「仮想ネットワーク」の順にクリックし、右上の「+」で作成画面に移ります。

仮想ネットワーク名に「demo_intnet」、管理状態に「Up」を選択し「次へ」をクリックします。

サブネット作成「あり」、サブネット名「demo_subnet」、仮想ネットワークアドレス「192.168.0.0/24」、ゲートウェイ「あり」、ゲートウェイIP「192.168.0.1」と設定し、「次へ」をクリックします。

DHCPは必須ではありませんが今回は簡単のため「有効」、IPアドレス割り当てプールを「192.168.0.100 - 192.168.0.110」、DNSサーバにはGoogle Public DNSの「8.8.8.8」「8.8.4.4」を設定し「次へ」をクリックします。

確認画面が表示されますので、設定内容を確認し「作成」をクリックします。

すると、以下のように「demo_inet」という内部ネットワーク用の仮想ネットワークが作成されます。

仮想ルータに内部ネットワークをアタッチ

作成済みの仮想ルータに内部ネットワークをアタッチします。

「ネットワーク」「仮想ルータ」の順にクリックし、「demo_router」の「アクション」列のアイコンから「編集」をクリックします。

「インターフェース」セクションにある「+」をクリックします。

サブネットに「demo_net」、IPアドレスに「192.168.0.1」を設定し、「追加」をクリックします。

以下のようにインターフェースに内部ネットワークのポートが追加されます。このアドレスがサーバのデフォルトゲートウェイとなります。

セキュリティグループの作成

サーバに割り当てるセキュリティグループ(通信ルール)を作成します。

「ネットワーク」「セキュリティグループ」の順にクリックし、右上の「+」で作成画面に移ります。

セキュリティグループ名に「test_security_group」、statefulに「true」を設定し「作成」をクリックします。

作成されたセキュリティグループをクリックします。

右上の「ルール管理」をクリックします。

デフォルトで2つのルールが設定されていますので、一旦どちらも「削除」で削除します。

「ルールの追加」で必要なルールを追加します。

今回は以下のようなルールを追加しました。

方向 プロトコル ポート 宛先 (用途)
egress udp 53 8.8.8.8/32 仮想サーバが使用するDNS
egress tcp 5432 0.0.0.0/0 仮想サーバから外部のPostgreSQLサーバへの接続
egress tcp 80 0.0.0.0/0 仮想サーバのインターネットHTTPアクセス用
egress tcp 80 169.254.169.254/32 プロビジョニングスクリプト機能用
egress udp 53 8.8.4.4/32 仮想サーバが使用するDNS
egress tcp 443 0.0.0.0/0 仮想サーバのインターネットHTTPSアクセス用
ingress tcp 8080 接続する端末のアドレス Linuxサーバ用API Serverの接続用
ingress tcp 8153 接続する端末のアドレス Windows用API Serverの接続用
ingress tcp 3389 接続する端末のアドレス Windows Serverへのリモートデスクトップ接続用
ingress tcp 8019 接続する端末のアドレス Windows用CData Syncの管理画面接続用
ingress tcp 22 接続する端末のアドレス LinuxサーバへのSSH接続用
ingress tcp 8181 接続する端末のアドレス Linuxサーバ用CData Syncの管理画面接続用

キーペアの作成

Linuxサーバへ公開鍵認証でssh接続するためのキーペアを作成します。

「コンピュート」「キーペア」の順にクリックし、右上の「+」で作成画面に移ります。

キーペア名に「demo_keypair」と入力し「次へ」をクリックします。

「作成」をクリックします。

キーペアが作成され、自動的にpemファイルがダウンロードされます。

ここまでで、仮想マシンを作成するためのネットワーク環境等の準備が整いました。

Windows Server環境の作成・動作確認

Windows Server仮想マシンを作成していきます。

サーバの作成

「コンピュート」「仮想サーバ」の順にクリックし、右上の「+」で作成画面に移ります。

仮想サーバ名を「apiserver_windows」とします。今回は仮想サーバタイプに「C3-4」を選択しました。また、イメージでPublicのWindows Server用イメージを選択します。デバイスサイズは80GBに設定しました。「次へ」をクリックします。

選択済み仮想ネットワークに内部ネットワークの「demo_intnet」選択して「次へ」をクリックします。

セキュリティグループに作成しておいた「test_security_group」のチェックを入れます。パスワードは「手動」を選択して設定し、「次へ」をクリックします。

オプション項目は特に設定せずに「次へ」をクリックします。

設定内容を確認し、「作成」をクリックします。

しばらくすると以下のように作成した仮想サーバの状態が「ACTIVE」に変わります。これで仮想サーバが作成されました。

グローバルIPアドレスの確保・割当て

作成した仮想マシンにグローバルIPアドレスを割り当てます。

「ネットワーク」「グローバルIP」の順にクリックし、右上の「+」で作成画面に移ります。

グローバルIPプールで「fip-net」を選択し「確保」をクリックします。

「グローバルIPアドレス割当ポート」で仮想マシン「apiserver_windows」を選択し「次へ」をクリックします。

設定内容を確認して「設定」をクリックします。

これでグローバルIPアドレスが割り当てられました。

既にリモートデスクトップ用のポートに外部から接続できるようにセキュリティグループで設定を行っていますので、リモートデスクトップクライアントで「コンピューター」にグローバルIPアドレスを設定し、ユーザー名に「k5user」を設定することで接続できます。

以下のようにリモートデスクトップでログオンできました。

ここまでくれば、あとは通常のWindows Serverの操作・設定を行うだけとなります。

CData Syncのインストールと動作確認

リモートログオンしたWindows Serverで以下のURLからCData Syncのインストーラをダウンロード・実行してインストールします。

Data Sync Apps | CData Software Japan

PostgreSQLの接続を設定し、接続テストで以下のように「接続に成功しました」と出れば動作確認完了です。

インターネット側の端末からも接続させたい場合は、Windowsファイアウォールの設定を行う必要があります。今回はデフォルトポートの8019ポートに接続できるようにします。ただし、今回はセキュリティグループで接続元を制限してあることに留意してください。ポートのアドレス公開要否やアドレス範囲は十分検討してください。

Windowsファイアウォールの設定で「受信の規則」「新しい規則」をクリックします。

「ポート」を選択して「次へ」をクリックします。

「TCP」を選択し、特定のローカルポートに「8019」を設定して「次へ」をクリックします。

「接続を許可する」を選択し「次へ」をクリックします。

今回はすべてのプロファイルにチェックを入れ、「次へ」をクリックします。

適当な名前を入力して「完了」をクリックすると、グローバルIPアドレス経由でも接続できるようになります。

API Serverのインストールと動作確認

リモートログオンしたWindows Serverで以下のURLからAPI Serverのインストーラをダウンロード・実行してインストールします。

API Server: REST API From Your Database in Minutes (cdata.com)

PostgreSQLの接続を設定し、接続テストで以下のように「接続に成功しました」と出れば動作確認完了です。

インターネット側からの接続も、CData Syncの時の設定と同様に8153番ポートについてファイアウォールの設定を行うことで可能となります。

Red Hat Enterprise Linux環境の作成・動作確認

RHEL8仮想マシンを作成していきます。

サーバの作成

「コンピュート」「仮想サーバ」の順にクリックし、右上の「+」で作成画面に移ります。

仮想サーバ名を「apiserver_rhel8」とします。今回は仮想サーバタイプに「C3-4」を選択しました。また、イメージでPublicのRHEL8用イメージを選択します。デバイスサイズは40GBに設定しました。「次へ」をクリックします。

選択済み仮想ネットワークに内部ネットワークの「demo_intnet」選択して「次へ」をクリックします。

セキュリティグループに作成しておいた「test_security_group」のチェックを入れます。キーペアに作成済みの「demo_keypair」を設定し、「次へ」をクリックします。

オプション項目は特に設定せずに「次へ」をクリックします。

設定内容を確認し、「作成」をクリックします。

しばらくすると以下のように作成した仮想サーバの状態が「ACTIVE」に変わります。これで仮想サーバが作成されました。

グローバルIPアドレスの確保・割当て

作成した仮想マシンにグローバルIPアドレスを割り当てます。

「ネットワーク」「グローバルIP」の順にクリックし、右上の「+」で作成画面に移ります。

グローバルIPプールで「fip-net」を選択し「確保」をクリックします。

「グローバルIPアドレス割当ポート」で仮想マシン「apiserver_rhel8」を選択し「次へ」をクリックします。

設定内容を確認して「設定」をクリックします。

これでグローバルIPアドレスが割り当てられました。

作成したサーバにSSHログインするわけですが、今回はPuTTYを使用して接続するため、ダウンロードしたキーペアのPEMファイルをPuTTYで扱えるPPKファイルに変換します。

PuTTYGenを起動して「Load」ボタンをクリックし、ダウンロード済みのPEMファイルを読み込みます。

その後、「Save private key」ボタンをクリックします。

今回はパスフレーズ無しで保存します(安全のためパスフレーズを設定してもOKです)ので、「はい」をクリックします。

接続するときは「Connection」「SSH」「Auth」の「Private key file for authentication」に作成したPPKファイルを設定します。

「k5user」ユーザにてログインできます。

ここまでくれば、あとは通常のRHEL8の操作・設定を行うだけとなります。

JDKのインストール

FJcloud-O上のRHEL8ではパッケージのインストールに「Red Hat Update Infrastructure 3.0」が利用できました。機能説明書を参考に、Red Hat Update Infrastructureが利用できるようにしておきます。

その後、以下のコマンドでJDKをインストールします。

sudo yum install java-11-openjdk-devel

CData Syncのインストールと動作確認

以下のURLからCData Syncのインストーラをダウンロードし、WinSCPなどでサーバに転送します。

Data Sync Apps | CData Software Japan

その後、以下のようにインストールします。

unzip CDataSync.zip
sudo java -jar setup.jar

インストール後、以下のようにサービス化して起動します。

sudo /opt/sync/service
sudo systemctl start cdatasync
sudo systemctl status cdatasync

以下のように「Active: active (running)」と表示されたら起動完了です。

インターネット側の端末から接続するため、以下のように8181番ポートへの接続を許可するようfirewalldの設定を行います。ただし、今回はセキュリティグループで接続元を制限してあることに留意してください。ポートのアドレス公開要否やアドレス範囲は十分検討してください。

sudo firewall-cmd --add-port 8181/tcp --permanent
sudo firewall-cmd --reload

すると、以下のようにインターネット側の端末からログイン画面に接続できます。

PostgreSQLの接続を設定し、接続テストで以下のように「接続に成功しました」と出れば動作確認完了です。

API Serverのインストールと動作確認

以下のURLからAPI Serverのインストーラをダウンロードし、WinSCPなどでサーバに転送します。

API Server: REST API From Your Database in Minutes (cdata.com)

その後、以下のようにインストールします。

unzip CDataAPIServer.zip
sudo java -jar setup.jar

インストール後、以下のようにサービス化して起動します。

sudo /opt/apiserver/service
sudo systemctl start apiserver
sudo systemctl status apiserver

以下のように「Active: active (running)」と表示されたら起動完了です。

インターネット側の端末から接続するため、以下のように8080番ポートへの接続を許可するようfirewalldの設定を行います。ただし、今回はセキュリティグループで接続元を制限してあることに留意してください。ポートのアドレス公開要否やアドレス範囲は十分検討してください。

sudo firewall-cmd --add-port 8080/tcp --permanent
sudo firewall-cmd --reload

すると、以下のようにインターネット側の端末からログイン画面に接続できます。

デフォルトのユーザ名・パスワードは「/opt/apiserver/apiserverRealm.properties」ファイルの中に記載されていますので確認してログインします。

PostgreSQLの接続を設定し、接続テストで以下のように「接続に成功しました」と出れば動作確認完了です。

おわりに

本記事ではFJcloud-Oの環境上にWindows ServerおよびRed Hat Enterprise Linuxのマシンを構築して弊社CData SyncおよびAPI Serverを動かす手順についてご紹介しました。

ご不明な点がございましたら、以下のサポートフォームよりお気軽にお問い合わせください!

https://www.cdata.com/jp/support/submit.aspx

関連コンテンツ

トライアル・お問い合わせ

30日間無償トライアルで、CData のリアルタイムデータ連携をフルにお試しいただけます。記事や製品についてのご質問があればお気軽にお問い合わせください。