
業務改善プラットフォームとして多くの企業で活用される kintone。案件管理、顧客管理、日報作成など、現場のニーズに合わせて柔軟なアプリケーションを作成できる点が魅力です。しかしその一方で、kintone アプリ内のデータと、基幹システム、MA ツール、スプレッドシートなど、他のシステムに存在するデータが分断され、「データのサイロ化」に悩む声も少なくありません。
特に営業部門では、マーケティング部門が獲得・育成したリード情報、基幹システムにある過去の取引履歴、Web サイトのアクセスログなど、様々な場所に散らばる顧客データを統合・分析し、その結果を日々の営業活動に活かしたいというニーズが高まっています。例えば、「確度の高い見込み顧客リスト」や「最新の顧客スコア」を、営業担当者が使い慣れた kintone 上でタイムリーに確認できれば、より効率的で質の高いアプローチが可能になるでしょう。
しかし、これらのデータを手作業で kintone に入力したり、個別に連携システムを開発したりするのは、多大な時間とコストがかかる上、情報の鮮度も損なわれがちです。

この、kintone を取り巻くデータ連携の課題を解決する強力な一手として、CData Software が提供する ETL/ELT ツール「CData Sync」に、多くのご要望を受けていた「kintone リバース ETL 機能」が搭載されました(V25.1)。本記事では、この新機能がどのように kintone 活用を次のステージへ引き上げるのか、具体的な活用例とともにご紹介します。
CData Sync の「kintone リバース ETL」とは?
そもそも「リバース ETL」とは何でしょうか?
通常の ETL(Extract, Transform, Load)が、業務システムなどからデータを抽出し、加工・変換してデータウェアハウス(DWH)やデータベース(DB)に「ロード(Load)」するのに対し、リバース ETL は、DWH/DB に集約・分析・加工されたデータを、再び業務アプリケーション(今回の場合は kintone)に「書き戻す(リバース)」仕組みを指します。
CData Sync V25.1 では、このリバース ETL の連携先として、新たに「kintone」が追加されました。これにより、専門的なプログラミング知識がなくても、CData Sync の直感的な GUI を通じて、以下のようなデータ連携をノーコードで実現できます。
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DWH(例: Redshift, BigQuery, Snowflake, Databricks など)に格納された分析済みデータを kintone アプリへ
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基幹データベース(例: Oracle, SQL Server, PostgreSQL, DB2 など)のマスタデータやトランザクションデータを kintone アプリへ

DWH のリードスコアを kintone へ!営業精度を高める方法
今回の kintone リバース ETL 機能で、特に効果が期待されるユースケースの一つが、プレスリリースでも言及されている「DWH 上で複数ソースから統合・スコアリングしたリード情報を kintone の顧客管理アプリに書き戻し、営業活動の精度を向上させる」シナリオです。
シナリオ例
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背景: マーケティング部門では、MA ツールで獲得したリード情報、Web サイトのアクセスログ、展示会での名刺交換リストなど、複数のソースから得られる見込み顧客データを DWH に集約・統合しています。
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分析: DWH 上でこれらのデータを分析し、顧客の行動履歴や属性情報に基づいて、それぞれのリードがどれだけ有望かを示す「リードスコア」を算出・更新しています。
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課題: この最新のリードスコアを、営業担当者が日々利用している kintone の顧客管理アプリにタイムリーに反映させたい。現状はマーケティング部門から定期的にリスト連携を受けて手入力するか、古い情報のまま営業活動を行っており、機会損失や非効率なアプローチが発生していました。
CData Sync による解決フロー
CData Sync V25.1 を使えば、この課題は以下のステップで解決できます。
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接続設定: CData Sync に、データソースとなる DWHと、連携先となる kintone への接続情報を設定します。
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リバース ETL ジョブ作成: 新規にデータ連携ジョブを作成し、「リバース ETL」モードを選択します。
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ソースとデスティネーションの指定:
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マッピング: ノーコードの GUI 画面で、DWH のフィールド(会社名, 担当者名, リードスコア, 最新更新日時など)と、kintone アプリの対応するフィールドをキー項目として紐付けます。
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書き込み設定: 書き込みモードとして「Upsert」を選択します。これにより、kintone に既に存在するリード情報は最新のスコアに更新され、存在しない新規リードは新たに追加されます。
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スケジュール設定: ジョブの実行スケジュールを設定します(例: 毎日深夜、1 時間ごとなど)。設定したタイミングで、CData Sync が自動的に DWH から最新データを取得し、kintone へ反映します。

導入効果
この仕組みを導入することで、以下のような効果が期待できます。
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営業活動の精度向上: 営業担当者は、常に最新のリードスコアを kintone 上で確認でき、スコアの高いホットリードから優先的にアプローチできます。
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迅速なアクション: データ連携が自動化・高速化されるため、有望なリードに対してタイムリーにアクションを起こせます。
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部門間連携の強化: マーケティング部門の分析結果がダイレクトに営業現場に活かされ、データに基づいた連携が促進されます。
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入力負荷の削減: 手作業でのデータ入力や転記作業がなくなり、営業担当者は本来注力すべきコア業務に集中できます。
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商談化率・成約率の向上: 結果として、営業活動全体の質とスピードが向上し、ビジネス成果への貢献が期待できます。
その他の kintone リバース ETL 活用例
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基幹システムのマスターデータを kintone へ: Oracle DB などに格納された「顧客マスタ」「商品マスタ」を kintone アプリに連携し、営業担当者が外出先からでも kintone で最新情報を参照・活用。
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複数システムの集計結果を kintone で可視化: 複数の業務システムから収集した売上実績などを DWH で集計し、その結果を kintone の「予実管理アプリ」や「経営レポート用アプリ」に書き戻して、リアルタイムな状況把握を実現。
お役立ち情報
基幹系システムのFit to Standard とkintone によるSide-by-Side 開発事例・連携ポイントを徹底解説
- SAP など基幹システムの標準機能で対応できない業務をどうする?
- kintone での業務改善を検討しているが、基幹システムとの連携はどうする?
- kintone と基幹システムとの連携に最適なツール・コネクタにはどんなものがある?
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CData Sync + kintone でデータの価値を届けきる
CData Sync V25.1 に搭載された「kintone リバース ETL 機能」は、多くの kintone ユーザーが抱えていたデータ連携の課題を解決し、業務効率化とデータドリブンな意思決定を後押しします。
特に、DWH などに蓄積・分析されたデータの価値を、営業担当者など現場の最前線へ『届けきる』ことができるようになるインパクトは計り知れません。リードスコアの連携による営業活動の精度向上、マスターデータの連携による参照効率化、集計結果の連携によるリアルタイムな状況把握など、その活用可能性は多岐にわたります。
ノーコードで手軽に始められ、豊富な接続先と高度な機能を備え、高速かつ安定したデータ連携を実現する CData Sync。ぜひこの機会に、貴社の kintone データ活用を次の段階へと引き上げてみませんか?
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