NGK エレクトロデバイスは、日本ガイシのグループ企業(NGK グループ)の一員として、携帯電話・光通信・デジタルカメラ・自動車など現代の生活に欠かせない製品に数多く使用されている水晶パッケージや絶縁放熱回路基板などのセラミック製品を開発・製造しています。 今回同社におけるDX 推進活動の一環として、製造品質における歩留まり等の分析を行うためのデータ収集・統合作業の自動化をCData Sync で実現。ニアリアルタイムでのきめ細やかな品質改善活動が可能になりました。

Challenges:
- 製造の現場において基幹システムやMES、設備データ収集アプリケーションなど独立したシステムが複数存在し、データのサイロ化が発生
- 各システムは工場のクローズドなネットワークで運用されているため、分析を行うオフィス側からスムーズかつリアルタイムなデータアクセスができなかった
- 製造品質の歩留まりなどの分析を行うためのデータの収集も担当ごとにExcel を使い手作業で収集していたため、品質チェックが可能になるまでかなりのタイムラグがあった

Solutions:
- 工場ネットワークにアクセス可能な環境へCData Sync を導入し、分析を行うオフィス側のSQL Server へレプリケーションを行うパイプラインをノーコードで構築
- データ連携に関して初めての内製化であったが、スクラッチでの開発では1ヶ月程度を想定していた工期を10分の1に短縮

本件をご担当された取締役執行役員 業務統括部(総務・資材・情報)統括部長 野呂氏と、業務統括部 情報部 丸本氏にお話を伺いました。
Q:本件は、どのような目的・課題の達成・解決を目指し取り組まれましたか?
野呂氏:NGK が掲げる「NGK グループデジタルビジョン」によるDX 推進の一環として、製造実績記録に関するデータをタイムリーに品質改善に活用するため、製造現場で利用している各システム間のデータのサイロ化を解消する目的として取り組みました。
製造に関するデータは生産から出荷まで管理を行う基幹システムやその周辺システムとしてのMES(製造実行システム)、PLM(プロダクトライフサイクルマネージメント)、自前のデータ収集アプリケーション等があります。
これまでも製造品質の維持・向上のために各システムのデータは利用されていましたが、各システムはセキュリティポリシーのためインターネットから遮断されたネットワーク環境にあり、データを利用するオフィス側からは直接アクセスができませんでした。
そのためアクセス権限のあるネットワーク内部のスタッフがそれぞれExcel を使って手作業でデータを収集・分析していましたが、データ収集作業がボトルネックとなって鮮度の高いデータに基づくタイムリーな品質チェックや、製造設備に関するパラメータを変更した場合のアドホックなチェックが難しい状況でした。
以上の背景から、DX 推進の取り組みとしてデータ活用基盤の構築を行うプロジェクトの検討を開始しました。
Q:CData Sync を採用されたポイントをおきかせいただけますか?
丸本氏:当社では製造業の強みになる部分、オペレーションの競争力となる部分については自社で内製しており、品質の歩留まりを上げる取り組みも例外ではありません。とはいえ、データベース周りやデータ活用基盤構築のプロが社内にいるわけではないため、どのように対応するべきか課題がありました。
そこで、データベースの運用を併走支援してくださっていた株式会社Codeer 様に相談したところ、CData のETL / ELT 製品であるCData Sync を紹介していただきました。
採用の検討にあたってCData Sync のハンズオンセミナーや無料トライアルを実施したところ、すぐに利用できるイメージが湧きました。
とくに、GUI 操作での3ステップでレプリケーション処理の構築が可能である点、最短1分単位での連携が可能で、ほぼリアルタイムに近い同期が可能である点に大きなメリットを感じました。
また、レプリケーションのパフォーマンス向上のために変更データ キャプチャ(CDC)を設定した際に、サーバー側の設定が不足していたため初めはうまく動かないこともありましたが、サポートに相談するとその日のうちに返信があり、スムーズに課題の解消できた点も大きかったです。
Q:弊社製品の導入効果はいかがでしょうか?
野呂氏: CData Sync の導入を決定後、まずは工場のオンプレミスに存在しているスクラッチの設備データ収集システムから連携を開始しました。データ分析用のSQL Server をオフィス側のネットワークに構築し、CData Sync のCDC 機能を使ってデータをニアリアルタイムで吸い上げています。
連携したデータは最終的にTIBCO のSpotfire を使い、歩留まりなどを分析するダッシュボードに繋げています。これにより今までは手動だったデータ収集・統合のボトルネックが解消され、経営陣から現場の担当まで、鮮度の高いデータに基づいた品質改善の取り組みがおこなえるようになりました。

丸本氏:実はデータ連携の内製化は初めての経験でしたが、CData Sync のおかげでスムーズに導入できました。
手作業でデータ収集を行なっていた頃は、必要なデータがあってもどうやって探す? といった状況になることもありましたが、CData Sync はテーブルやカラムの情報も自動で収集して表示してくれるのでスムーズに探せるようになりました。
レプリケーションの設定は自前でもできなくはないと感じましたが、実際に構築してみると1つのジョブの中でレプリケーション対象のテーブルが80~100、カラム数も多いもので300~400にも上り、仕様の共有が大変で属人化しがちです。
その点CData Sync では接続の設定内容や実際にレプリケーションを行うジョブの内容がGUI で確認できるため後続の人にも引き継ぎやすく、初期構築時の工数だけでなく、運用時における現場の見えない工数も削減できています。
今後第2フェーズとして、ERP・SCM パッケージであるMCFrame との連携を進める予定です。また現在各システムで品番マスタが分散しており、メンテナンスに工数がかかっているため、CData Sync とMDM(マスターデータマネージメント)ツールの仕組みを組み合わせてMCFrame やHCL Notes・SuperStream などとマスタデータ連携の仕組みを構築したいと考えています。
Q:よろしければ今後の展開についてご共有いただけますでしょうか?
野呂氏:当社が扱う製品は5-600品番あり、毎月の品番構成は変化するものの約80品番の製品を、山口の工場とマレーシアのペナン工場が連携して月間約3億個生産し、グローバルに供給しています。そしてこの幅広い製品のカスタマイズ性と、国を跨いだデータの分析基盤を活用した品質の高さが競争力の源泉です。
かつてはセラミック製品の製造品質を焼成時の色で見極めできるほど卓越した職人もいましたが、今はデータで可視化・分析することで若手を含む全社で共通のダッシュボードに設定した閾値による分析と品質改善のアクションが可能になりました。
当社ではすでに加工や画像検査などの設備導入による自動化は進んでいますが、今後はさらに基幹システムで管理している製品情報と装置のパラメータを様々なシステムから取得したデータを統合・活用し、製造プロセスの全自動化を目指していきます。
記事公開日:2025年5月1日