RESTとDynamics 365のデータをSQL Serverで集計・分析してDynamics 365に連携する方法(リバースETL)

REST とDynamics 365 のデータをSQL Server に統合してリードスコアを付加した後に、変更後のデータをDynamics 365 に連携する、リバースETL 構成のパイプラインを構築します。

宮本航太
プロダクトスペシャリスト

最終更新日:2024-01-14

この記事で実現できるREST 連携のシナリオ

こんにちは!プロダクトスペシャリストの宮本です。

CData Sync は、400種類以上のSaaS / DB のデータを各種DB・データウェアハウスにノーコードで統合可能なETL / ELT ツールです。CData Sync では、DB / DWH だけでなくDynamics 365 をはじめとする一部SaaS をデータの転送先としてサポートしているため、いわゆるリバースETL 構成のデータパイプラインを構築できます。

本記事では、REST とDynamics 365 のデータをSQL Server に統合、リードスコアを計算・付加した後にDynamics 365 に書き戻す、というリバースETL 構成のパイプラインを作っていきます。

CData Sync とは?

CData Sync の概要画像

CData Sync は、レポーティング・ダッシュボード、機械学習・AI などで使えるよう、社内のデータを一か所に統合して管理できるデータ基盤をノーコードで構築できるETL ツールで、以下の特徴を持っています。

  1. REST をはじめとする400種類以上のSaaS / DB データに対応
  2. 主要なRDB、データレイク、データストア、データウェアハウスにデータを転送
  3. 業務データのデータ分析基盤へのETL / ELT 機能に特化し、極限まで設定操作をシンプルに
  4. 主要なSaaS データの差分更新やCDC(Change Data Capture、変更データキャプチャ)のサポート
  5. フレキシブルなSQL / dbt 連携での取得データの変換
  6. Dynamics 365 を始めとする一部SaaS へのデータ転送(リバースETL)をサポート
他にもパワフルな機能を搭載しています。

CData Sync を使い始める

CData Sync は、フルマネージド(SaaS)型・オンプレミス型・AWS / Azure でのホスティング、と多様なホスティング環境に対応しています。各オプションで無償トライアルを提供していますので、自社のニーズにフィットするオプションを選択してお試しください。

無償トライアルへ

まずは製品の概要を知りたい、という方は5分でCData Sync を体験できる製品ツアーをご利用ください。

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リバースETL とは?

ETL の逆方向のデータ転送手法で、データウェアハウス(DWH)からSaaS へデータを転送することを指します。アプリ間連携のようなEAI とは異なり、ETL のようにバッチ処理での連携を行います。例えば、Dynamics 365とREST のデータをデータウェアハウス内に統合、集計・予測してからDynamics 365に書き戻したい場合、以下の2つの方法があります。

  1. Dynamics 365 → データウェアハウスで連携
  2. データウェアハウスで変換されたデータをDynamics 365 に書き戻し
②の構成がリバースETL に当たります。

リバースETL の構成例

それでは、REST とDynamics 365 のデータを統合して書き戻すための具体的な設定手順を説明していきます。

実現するシナリオ

REST とDynamics 365 の情報を一度SQL Server に統合、統合したデータを使ってリードをスコアリングし、その結果をDynamics 365 に書き戻します。 リバースETL のデータソースとなるDB としてSQL Server を使い、全体のデータの流れは、

Dynamics 365 (Lead)+REST → SQL Server(スコアリング)→ Dynamics 365(Lead)

となります。なお、Dynamics 365 のLead オブジェクトにはスコアリング結果を格納するカスタム項目を事前に作成しておきます。

Dynamics 365 とREST への接続を設定

はじめに、Dynamics 365 とREST のデータをSQL Server に転送するための設定を行います。

CData Sync のブラウザ管理コンソールにログインします。CData Sync のインストールをまだ行っていない方は本記事の製品リンクからCData Sync をクリックして、30日の無償トライアルとしてCData Sync をインストールしてください。インストール後にCData Sync が起動して、ブラウザ設定画面が開きます。

それでは、データソースとしてREST を設定していきましょう。左の[接続]タブをクリックします。

  1. [+接続の追加]ボタンをクリックします。 コネクションの追加。
  2. [データソース]タブを選択して、リスト表示されるデータソースを選ぶか、検索バーにデータソース名を入力して、REST を見つけます。
  3. REST の右側の[→]をクリックして、REST アカウントへの接続画面を開きます。もし、REST のコネクタがデフォルトでCData Sync にインストールされていない場合には、ダウンロードアイコン(コネクタのアップロードアイコン)をクリックし、[ダウンロード]をクリックすると、CData Sync にコネクタがインストールされます。 データソースの追加。
  4. 接続プロパティにREST に接続するアカウント情報を入力をします。

    データソースへの認証については、データプロバイダーのヘルプドキュメントの「はじめに」を参照してください: データプロバイダーはREST API を双方向データベーステーブルとして、XML/JSON ファイル(ローカルファイル、一般的なクラウドサービスに保存されているファイル、FTP サーバー)を読み取り専用のビューとしてモデル化します。HTTP Basic、Digest、NTLM、OAuth、FTP などの主要な認証スキームがサポートされています。認証についての詳細は、ヘルプドキュメントの「はじめに」を参照してください。

    URI を設定し、認証値を指定したら、Format を"XML" または"JSON" に設定して、データ表現をデータ構造により厳密に一致させるようにDataModel を設定します。

    DataModel プロパティは、データをどのようにテーブルに表現するかを制御するプロパティで、以下の基本的な設定を切り替えます。

    • Document (デフォルト):REST データのトップレベルのドキュメントビューをモデル化します。データプロバイダーはネストされたエレメントをデータの集計として返します。
    • FlattenedDocuments:ネストされたドキュメントとその親を単一テーブルとして暗黙的に結合します。
    • Relational:階層データから個々の関連テーブルを返します。テーブルには、親ドキュメントにリンクする主キーと外部キーが含まれます。

    リレーショナル表現の構成について詳しくは、「REST データのモデル化」を参照してください。次の例で使用されているサンプルデータもあります。データには、人、所有している車、およびそれらの車で行われたさまざまなメンテナンスサービスのエントリが含まれています。The data includes entries for people, the cars they own, and various maintenance services performed on those cars.

    データソースの追加。
  5. [作成およびテスト]をクリックして、正しくREST に接続できているかをテストして保存します。これでレプリケーションのデータソースとしてREST への接続が設定されました。

Dynamics 365 への接続を設定

データソースとしてDynamics 365 を設定します。接続プロパティまでの設定方法は基本的にREST と同じです。

接続には、Edition およびOrganizationUrl 接続プロパティが必須です。Dynamics 365 コネクタは、以下のエディションへの接続をサポートしています。

  • CustomerService
  • FieldService
  • FinOpsOnline
  • FinOpsOnPremise
  • HumanResources
  • Marketing
  • ProjectOperations
  • Sales

Dynamics 365 Business Central については、Dynamics 365 Business Central ドライバーを使用してください。

OrganizationUrl は、Dynamics 365 組織へのURL です。例えば、https://orgcb42e1d0.crm.dynamics.com

SQL Server への接続を設定

次に、SQL Server への接続を設定します。同じく[接続]タブを開きます。

  1. [+接続の追加]ボタンをクリックします。
  2. [同期先]タブを選択して、リスト表示されるデータソースを選ぶか、検索バーにデータソース名を入力して、SQL Server を見つけます。
  3. SQL Server の右側の[→]をクリックして、SQL Server データベースへの接続画面を開きます。 SQL Server を同期先として追加
  4. 必要な接続プロパティを入力します。SQL Server との接続には、以下のプロパティが必要です。
    • User: SQL Server データベースへの認証用のusername
    • Password: SQL Server ユーザーのpassword
    • AuthScheme: 使用する認証スキーマ。入力可能な値はPASSWORD、もしくはOKTA
    • Account: SQL Server でのアカウント
    • URL: SQL Server インスタンスのURL 例: https://myaccount.snowflakecomputing.com
    • Warehouse: SQL Server ウェアハウスの名前
    • Database: SQL Server データベース名
    • Schema: SQL Server データベースのスキーマ
  5. [作成およびテスト]をクリックして、正しく接続できているかをテストします。 同期先接続のテスト
  6. これで転送先としてSQL Server を設定できました。CData Sync では、SQL Server のデータベース名を指定するだけで、転送するSQL Server に併せたテーブルスキーマを自動的にCREATE TABLE してくれます。同期データに合わせたテーブルを事前に作成するなどの面倒な手順は必要ありません。もちろん、既存テーブルにマッピングを行いデータ同期を行うことも可能です。

Dynamics 365 とREST のデータをSQL Server に統合

CData Sync では、データ転送をジョブ単位で設定します。ジョブは、例えばDynamics 365 → SQL Server といった1データソース1転送先の単位で設定し、データソースが持つ複数のテーブルを転送できます。データ転送ジョブを設定するには、[ジョブ]タブに進み、[+ジョブを追加]ボタンをクリックします。 ジョブの追加

すべてのオブジェクトをデータ転送する場合

Dynamics 365 のすべてのオブジェクト / テーブルをデータ転送するには、[種類]で[すべて同期]を選択して、[タスクを追加]ボタンで確定します。

作成したジョブ画面で、右上の[▷実行]ボタンをクリックするだけで、全Dynamics 365 テーブルをSQL Server に転送できます。

オブジェクトを選択してデータ転送する場合

Dynamics 365 から特定のオブジェクト / テーブルを選択してデータ転送を行うには、[種類]で[標準(個別設定)]を選んでください。

次に[ジョブ]画面で、[タスク]タブをクリックし、[タスクを追加]ボタンをクリックします。 ジョブへのタスク追加。

するとCData Sync で利用可能なオブジェクト / テーブルのリストが表示されるので、データ転送を行うオブジェクトにチェックを付けます(複数選択可)。[タスクを追加]ボタンで確定します。

タスク選択。

作成したジョブ画面で、[▷実行]ボタンをクリックして(もしくは各タスク毎の実行ボタンを押して)、データ転送ジョブを実行します。 作成したジョブの実行(Dynamics 365 の例)。

このようにとても簡単にDynamics 365 からSQL Server への同期を行うことができました。

SQL Server に転送されたテーブルを見てみると、無事にDynamics 365 のデータが転送されていることが確認できます。スコアリング結果を格納するLeadScore_c(カスタム項目)にはまだ何もデータが入っていないので、ここにREST のデータを統合したリードスコアリングの計算結果を追加します。

SQL Server への転送結果

同じ手順で、REST のお好みのデータをSQL Server に転送できます。今回はpeople テーブルを使用しました。

リードスコアリング

それでは、Dynamics 365 のリードをスコアリングしてSQL Server に反映しましょう。このときにREST のpeople のデータを統合して使います。

CData Sync ではDynamics 365 とREST 以外にも400種類以上のデータソースをサポートしているので、スコアリングに必要なデータ(Webサイト上のアクティビティやメール開封率、ダウンロード履歴など)が他にあれば追加してみてください。

それでは、SQL Server のLead_Reverse_ETL テーブルのLeadScore_c を参照してみましょう。

本記事ではリードスコアリングの方法は省きますが、SQL Server 上でDynamics 365 とREST のデータを使ってスコアリングした結果を、以下のようにLeadScore_c カラムに追加しています。

スコアリングを算出してLeadScore_c カラムに追加

この更新されたリードデータを、元のリードデータを持つDynamics 365 に書き戻します。

Dynamics 365 への書き戻し

書き戻しを行うには、SQL Server からDynamics 365 へのジョブを作成する必要があります。ただし、作成方法はデータソースと同期先に注意するだけでほとんど同じです。

では、ジョブを追加ボタンをクリックしてジョブを作成していきます。

  • データソース:SQL Server
  • 同期先:Dynamics 365
  • 転送モード:元あるリードデータにスコアリング結果を加えるだけなので、Update を使います
ジョブ追加画面ではUpdateを選択

※連携方法は、 Insert、Upsert、Update の3パターンから選択可能です。Upsertの場合は、Dynamics 365 で外部ID として登録している項目のみKey として使用可能

ここでテーブル同士を紐づけます。

SQL Server のLead_reverse テーブルをDynamics 365 のLead テーブルに同期する設定

次にどの項目をキーにするか、またどのカラム同士をマッピングするかを指定します。今回は LeadScore_c 同士でマッピングしました。

カラムのマッピングを設定

設定は以上で、あとは右上の実行ボタンをクリックするだけです。※運用時はスケジュール設定を行ってください。

右上の実行ボタンをクリック

実行が完了すると、ステータスや更新した行数が表示されます。

ステータスがSuccessfulになっていることを確認

では、最後に Dynamics 365 のLeadオブジェクトを見てみましょう。LeadScore 列にSQL Server でスコアリングした結果が取り込まれました!

SQL Server とDynamics 365 のテーブルを紐づけ

Dynamics 365 へのリバースETL 構成をCData Sync で実現

このように、Dynamics 365 とREST のデータを統合して書き戻すリバースETL のような複雑に思える構成でも、CData Sync ならノーコードで簡単に実現できます。

リバースETL にはリードスコアリングの他、マスタデータとの連携やWeb 解析ツールが持つユーザーアクティビティとの連携など、幅広いユースケースがあります。30日間の無償トライアルで、リバースETL パイプラインの構築を手軽にお試しください。

日本のユーザー向けにCData Sync は、UI の日本語化、ドキュメントの日本語化、日本語でのテクニカルサポートを提供しています。

もっとユースケースが知りたい!という方は、CData Sync の 導入事例を併せてご覧ください。

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