【完全ガイド】IBM Cloud Object Storage のデータをSQL Server のリンクサーバーで連携する方法

SQL Server からCData ODBC Driver のSQL Gateway 機能を使ってIBM Cloud Object Storage にリンクサーバーとして接続する方法を解説。設定手順からVisual Studio での活用例まで詳細に紹介します。

兵藤朋代
コンテンツスペシャリスト

最終更新日:2025-03-14

この記事で実現できるIBM Cloud Object Storage 連携のシナリオ

こんにちは!ドライバー周りのヘルプドキュメントを担当している兵藤です。

本記事では、SQL ServerのTDS Remoting 機能を使ってIBM Cloud Object Storage にリンクサーバーとしてシームレスに連携する方法を解説します。この連携には、CData ODBC Driverに同梱されているSQL Gateway を使用します。この方法により、SQL Server のインターフェースからIBM Cloud Object Storage への読み書き双方向のアクセスが可能になり、既存のSQL Server 環境で外部データを活用できるようになります。スクリーンショット付きで紹介していくので、初心者の方でも簡単に設定できます!

IBM Cloud Object Storage をSQL Server のリンクサーバーとして利用する3つの主要シナリオ

  • SQL Server に接続しているアプリケーションでIBM Cloud Object Storage のデータを利用したいがデータ接続を増やしたくない
  • IBM Cloud Object Storage のデータをSQL Server のデータや他のリンクサーバーのデータをJOIN などして使いたい
  • 利用したいミドルウェア・BI ツールなどにODBC やJDBC の汎用のインターフェースがないが、SQL Server には接続できる

【準備編】IBM Cloud Object Storage ODBC DSNの設定方法

まずは、本記事右側のサイドバーからIBMCloudObjectStorage ODBC Driver の無償トライアルをダウンロード・インストールしてください。ODBC ドライバーのインストール完了時にODBC DSN 設定画面が立ち上がります。または、Microsoft ODBC データソースアドミニストレーターを使ってDSN を作成および設定できます。

Cloud Object Storage 接続プロパティの取得・設定方法

Cloud Object Storage に接続する前に、Cloud Object Storage インスタンスを登録してCloud Object Storage API キーとCRN を取得していきます。

Cloud Object Storage の新規インスタンスの登録

IBM Cloud アカウントにCloud Object Storage がまだない場合は、以下の手順に従ってアカウントにSQL Query のインスタンスをインストールできます。

  1. IBM Cloud アカウントにログインします。
  2. Cloud Object Storage ページに移動して、インスタンス名を指定して「作成」をクリックします。Cloud Object Storage の新規インスタンスにリダイレクトされます。

API キー

API キーは以下の手順で取得できます。

  1. まずは、IBM Cloud アカウントにログインします。
  2. API キーページに移動します。
  3. 中央右隅のIBM Cloud APIキーの作成 をクリックして、新しいAPI キーを作成します。
  4. ポップアップウィンドウが表示されたら、API キーの名前を指定して作成をクリックします。ダッシュボードからはアクセスできなくなるため、API Key を控えておきましょう。

Cloud Object Storage CRN

デフォルトでは、CData 製品はCloud Object Storage CRN を自動で取得します。ただし、複数のアカウントがある場合は、CloudObjectStorageCRN を明示的に指定する必要があります。この値は、次の2つの方法で取得できます。

  • Services ビューをクエリする。これにより、IBM Cloud Object Storage インスタンスとそれぞれのCRN がリストされます。
  • IBM Cloud で直接CRN を見つける。これを行うには、IBM Cloud のダッシュボードに移動します。リソースリストで、ストレージからCloud Object Storage リソースを選択してCRN を取得します。

IBM Cloud Object Storage への接続

これで準備は完了です。以下の接続プロパティを設定してください。

  • InitiateOAuthGETANDREFRESH に設定。InitiateOAuth を使うと、OAuth 認証を繰り返す必要がなく、さらに自動でアクセストークンを設定できます。
  • ApiKey:セットアップ中に控えたAPI キーを指定。
  • CloudObjectStorageCRN(オプション):控えておいたCloud Object Storage のCRN に設定。Cloud Object Storage アカウントが複数ある場合のみ設定する必要があります。

プロパティを設定したら、これで接続設定は完了です。

【設定手順1】SQL Gateway でIBM Cloud Object Storage ODBC DSN をセットアップする方法

CData ODBC ドライバにはSQL Gateway が同梱されています。このSQL Gateway に、IBM Cloud Object Storage ODBC Driver をサービスとして設定します。

  1. 「スタート」画面から「SQL Gateway」を起動します。青い「C」のSQL Gateway ロゴが右下のインジケータに表示されます。 アプリケーションコンソールが開かない場合には、SQL Gateway アイコンを右クリックして、「Open Application」をクリックしてください。
  2. アプリケーションコンソールの「Service」タブを開いて、「Add」をクリックして、新しいODBC データソースを設定します。
  3. IBM Cloud Object Storage ODBC の設定を行います。
    Service Name]:任意
    リモーティングDB 選択:SQL Server を選択
    Data Source:ドロップダウンでCData IBM Cloud Object Storage Source Sys を選択
    Port:使用していないポートを選択
    CData IBM Cloud Object Storage ODBC Driver設定画面 - SQL Gatewayでの設定方法
  4. 次に「Users」タブ→「Add」からユーザーを登録します。
    ユーザー毎にFull アクセスか、Readonly か、None の権限を選択できます。
    複数のODBC データソースがある場合には、データソース毎に権限の設定が可能です。
    SQL Gateway ユーザー権限設定画面 - IBM Cloud Object Storageデータアクセス権限の設定方法
    「OK」を押して、ユーザー登録を完了します。 その後「Save Changes」で設定を保存します。
  5. SQL Gateway の「Service」タブで「Start」ボタンを押して、サービスを起動します。サービスの左側の〇が緑色になれば、サービスは起動中です。

【設定手順2】SQL Server でIBM Cloud Object Storage リンクサーバーを構築する方法

SQL Gateway 側でサービスの設定が終わったら、SQL Server 側でIBM Cloud Object Storage サービスをリンクサーバーとして使う設定をしましょう。

  1. SQL Server Management Studio (SSMS) を開きます。
    オブジェクトエクスプローラーの「サーバーオブジェクト」で「リンクサーバー」を右クリックして、「新しいリンクサーバー」をクリックします。
  2. 新しいリンクサーバーの設定画面の「全般」で、以下を入力します。
    サーバー種類:その他データソース
    プロバイダー:SQL Server Native _Client 11.0
    データソース:この例の場合、localhost, 1433 を入力
    カタログ:ODBC DSN 名を入力
    SQL Server リンクサーバー設定画面 - IBM Cloud Object Storageをリンクサーバーとして追加する方法
  3. また、「セキュリティ」では、「このセキュリティコンテキスト」を選択して、リモートログインにSQL Gateway にユーザー設定したUser 名とPassword を入力します。

これで、リンクサーバーの設定は終わりなので、「OK」を押して設定を保存します。

【活用例1】SSMS(SQL Server Management Studio)でIBM Cloud Object Storage データを操作する方法

SSMS のオブジェクトエクスプローラーのリンクサーバー下にIBM Cloud Object Storage のリンクサーバーが作成され、「テーブル」下にIBM Cloud Object Storage のデータがアプリ単位でテーブルが生成されます。
新しいクエリを選択し、IBM Cloud Object Storage のデータを取得してみます。

実践的なSQL クエリの例と解説

SELECT * from リンクサーバー名.CData IBM Cloud Object Storage Source Sys(ODBC DSN 名).IBM Cloud Object Storage.テーブル名

このように、API のリクエストではなく通常のSQL 構文でデータを扱うことが可能になっています

【活用例2】Visual Studio からIBM Cloud Object Storage のリンクサーバーに連携する方法

Visual Studio のサーバーエクスプローラーの「データ接続」を右クリックし、「接続の追加」をクリックして、データソースの選択画面を開きます。 データソースの選択画面でデータソースを「Microsoft SQL Server 」に選択して、「続行」を押します。

Visual Studio での接続設定とクエリ実行手順

「接続の追加」画面で、以下を入力します。
サーバー名:SQL Server のサーバー名
認証:任意の認証方式
データベース名の選択または入力:※master など
※リンクサーバーを直接データベース名として入力することはできないようです。なので上位のデータベース名で設定しておきます。

Visual Studio でのIBM Cloud Object Storageリンクサーバー接続設定画面 - データ連携の設定方法

「テスト接続」をして大丈夫であれば、「OK」を押して設定を完了させます。

「新しいクエリ」で、SQL でSELECT 文を書いてデータを取得してみます。

SELECT * from リンクサーバー名.CData IBM Cloud Object Storage Source Sys(ODBC DSN 名).IBM Cloud Object Storage.テーブル名

このように、通常のSQL Server のリンクサーバーと同じようにVisual Studio 内IBM Cloud Object Storage のデータを扱うことが可能になります。 他のIDE でもSQL Server にアクセスする方法でIBM Cloud Object Storage のデータにSQL でアクセスが可能になります。
複数データソースのJOIN などを行う場合には大変便利です。

【応用編】IBM Cloud Object Storage データとSQL Server データを組み合わせた高度な活用例

リンクサーバーの真価は、異なるデータソースを組み合わせた分析や処理にあります。以下に実践的な活用例をご紹介します。

複数データソースの結合(JOIN)によるデータ統合

SELECT s.customer_id, s.customer_name, o.order_id, o.order_date, o.total_amount FROM Sales.Customers s JOIN リンクサーバー名.CData IBM Cloud Object Storage Source Sys.IBM Cloud Object Storage.Orders o ON s.customer_id = o.customer_id WHERE o.order_date > '2023-01-01' ORDER BY o.total_amount DESC

このクエリ例では、SQL Server内の顧客データとIBM Cloud Object Storage 内の注文データを顧客IDで結合し、2023年以降の注文を金額順に表示しています。

おわりに

このようにCData ODBC ドライバと併用することで、IBM Cloud Object Storage を含む270を超えるSaaS、NoSQL データをSQL Server に連携できます。30日の無償評価版が利用できますので、ぜひ自社で使っているクラウドサービ スやNoSQL と合わせて活用してみてください。

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