データ基盤用語集



データパイプラインとは?仕組みと活用方法4選を解説

データパイプラインとは?仕組みと活用方法4選を解説

データパイプラインを理解することは、変化の大きいデータ管理の世界では不可欠です。

この記事では、データパイプラインはどのように機能するのか、そして今日のビジネスにおいてデータパイプラインが果たす重要な役割について説明します。実践的な事例をもとに、データリソースを最大限に活用するための知識を身につけましょう。

データパイプラインとは?

モダンなデータパイプラインは、データの所在や移動先、フォーマットの種類にかかわらず、あらゆる種類のデータを用途に合わせて異なる部門間で転送できるように設計されています。

データパイプラインはデータ管理に欠かせない存在であり、生データを多様なデータソースからデータレイクやデータウェアハウスなどの中央ストレージシステムに転送するチャネルとして機能します。

データパイプラインの役割や変遷については、こちらの記事をご確認ください。

データパイプラインの種類

データを効率的に処理したいという組織のニーズに応じて、データパイプラインはさまざまな方法で処理されます。

バッチ処理

バッチ処理は、その名前が示すように、あらかじめ決められた時間枠(1時間単位、1日単位、1週間単位など)に収集されたデータを大きなバッチで処理します。バッチ処理はシステムリソースを大量に消費するため、通常はシステムの他の作業に影響を与えないオフピーク時に実行されます。

バッチ処理は、履歴データの収集と分析、定期的なレポートの作成、およびデータ管理とデータ連携の簡素化に対する費用対効果の高い方法として有用です。

ニアリアルタイム処理

バッチ型をベースとするデータパイプラインの多くは、変更データキャプチャ(CDC)や差分更新のような手法を用いて、大量のデータをニアリアルタイムで処理できるようにしています。CDC や差分更新では、最後の実行以降の変更のみがパイプラインに取り込まれます。

そのため、初回の処理には時間を要しますが、2回目以降の処理は高速に行われ、例えばアウトリーチイベント中に獲得した新しいリードや小売店の1時間ごとの販売数といった、刻々と変化するデータセットに対するアジャイル分析が可能になります。

ストリーミング

ストリーミングによるデータ処理は、バッチ処理とは逆で、データが入ってくると即座に処理されるため、迅速な分析と状況の変化に対する迅速な対応が可能になります。代表的なストリーミングデータパイプラインには、医療機器、機器に接続するゲージなど、常に変化する値を計測しているデバイスのデータが挙げられます。

ストリーミングによるデータ処理パイプラインは、リアルタイムデータの迅速な分析を必要とするあらゆる状況に適しています。在庫の追跡、財務データの分析、天候の予測、提案のパーソナライズによる顧客エンゲージメントの強化などは、すべてリアルタイム処理が重要となる事例です。

データパイプラインの構成要素

データパイプラインのアーキテクチャは、一般的に次の3つの主要な要素で構成されます。データの収集元となるデータソース、データが適切な形式やフォーマットに変換される処理アクション、そして処理されたデータが利用できるように最終的に保存される同期先です。

データソース

データソースはデータパイプラインの出発点であり、データがその旅をはじめる場所です。パイプラインで利用できるデータソースには複数あり、データベース、ファイル、アプリケーション、クラウドストレージ、センサーやIoT デバイスからのストリーミングデータ、外部サービスのAPI などが挙げられます。データソースは生データを取り込み、処理に回します。

処理

処理はデータパイプラインの中核です。ここでは、データソース(複数の場合もあります)から取り込んだ生データが有効なフォーマットに変換されます。処理に伴う手順はいくつかの要因によって異なり、クリーニング(不正確さや重複の削除)、正規化(データ形式の標準化)、変換(データを目的の形式や構造に変換)、集計(異なるデータソースからのデータの結合)などが含まれます。

この処理によって、データは正確で一貫性があり、使用目的に適した形式になります。この工程では、大量のデータや複雑なデータ型を扱う場合は特に、複雑なアルゴリズムや演算処理が必要になることがよくあります。

同期先

同期先はデータパイプラインの終点であり、処理されたデータが格納され、これから利用するためにアクセスできる場所です。

一般的な同期先としては、データウェアハウス(分析に適した構造化データ用)、データレイク(膨大な量の生データを元の形式で保存)、データベース、あるいはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールやレポート用ダッシュボードなどのアプリケーションがあります。同期先のデータはすぐに活用できる状態にあり、事業運営や意思決定に関するイニシアチブを裏付けるインサイトを提供します。

データパイプラインの仕組み

データパイプラインは、データをデータソースから分析や意思決定に利用できる同期先まで移行し変換するプロセスを自動化することで機能します。データパイプラインは、データフローを管理および監視し、データがあるステージから次のステージへ円滑に移行できるようにします。

エラーを処理し、アクティビティをログに記録し、パフォーマンスとセキュリティの基準を維持します。ここでは、データパイプラインが通常どのように動作するかを段階的に説明します。

取り込み:プロセスはデータの取り込みから始まります。パイプラインは1つ以上のデータソースからデータを収集します。データベース、API、ファイルシステム、クラウドサービス、リアルタイムソースからのストリーミングデータなどが該当します。

クリーニングとバリデーション:データが取り込まれると、多くの場合、最初のクリーニングと検証が行われます。このステップでは、データが正確で利用可能であることを確認し、エラーや不整合、無関係なデータは削除または修正されます。

変換:次の段階は、データを分析に適した形式に変換することです。これには、正規化(データ形式の標準化)、エンリッチ化(関連情報の追加)、集計(異なるデータソースのデータの結合)など、さまざまなプロセスが含まれます。これらの変換は、ETL(抽出、変換、ロード)パイプラインの「T(変換)」に該当します。

ストレージ:処理後、データは同期先のシステムに格納されます。これはデータベース、データウェアハウス、データレイク、またはパイプラインの目的とデータの性質に適したその他のストレージソリューションが対象となります。

追加処理:パイプラインが複雑な場合、追加の処理ステップが必要になることがあります。これには、重複除外、並べ替え、依存関係、ビジネスロジック、アルゴリズムなど、より高度なデータ操作が含まれます。この追加処理は、ELT(抽出、ロード、変換)パイプラインの「T(変換)」に該当します。

分析と活用:これで処理されたデータを分析する準備ができました。データアナリスト、BI ツール、その他のアプリケーションがデータにアクセスできるようになり、インサイトを創出したり意思決定の後押しをしたりすることで、データドリブンなインサイトを実現することができます。

データパイプラインの実例とユースケース

データパイプラインは、データの取り扱いに関する手作業の労力と複雑さを大幅に削減します。結果として、効率が上がり、精度が向上し、データドリブンなタスクの実行速度が加速します。さまざまなデータパイプライン戦略に基づく実際のシナリオをいくつかご紹介します。

データの統合

データパイプラインは、さまざまなチャネルの顧客データを単一のデータベースに集約するためによく利用されます。例えば、小売企業は、データパイプラインを利用して、オンラインストア、実店舗のPOS システム、CRM(顧客関係管理)ソフトウェアの顧客情報を統合することができます。

パイプラインでデータを処理して標準化し、それを中央の顧客データベースにロードすることで、企業は顧客の行動を完全に把握できるようになります。

探索的データ分析

データパイプラインはEDA(探索的データ分析)に不可欠です。

例えば、大規模な疫学研究に携わる医学研究者は、膨大なデータセット(患者記録、臨床試験データ、外部の人口統計情報など)を分析し、病気や治療に関連するパターンや相関関係を特定する必要があります。

データパイプラインは、さまざまな医療データベース、研究機関、公衆衛生記録から非PII(個人を特定できない情報)データを取り込みます。

データはクレンジング、正規化、構造化されているため、研究者は統計ツールを用いて膨大な量のデータをふるいにかけ、潜在的な危険因子、各種の治療プロトコル、病気の蔓延傾向などの情報を見出すことができます。

データの可視化

データパイプラインは、金融投資会社が投資戦略を導くための詳細なビジュアライゼーションを作成するために不可欠です。例えば、投資銀行は市場動向、株価推移、経済指標を分析し、顧客にポートフォリオ運用についてアドバイスする必要があります。

データパイプラインは、証券取引所、金融関連の報道ソース、経済レポート、内部調査からのデータを集約します。後はデータを処理してフィルタリングし、それを変換して高度な分析プラットフォームに送り込み、市場セクターのヒートマップ、株価推移のトレンドグラフ、リアルタイムの市場センチメントを示すインタラクティブな ダッシュボードなどの動的な可視化に活用できます。

機械学習

データパイプラインは自動運転技術の開発に欠かせないものであり、安全性とパフォーマンス向上のために機械学習に大きく依存しています。自律走行車は、LIDAR(光検出と測距)、レーダー、カメラ、GPS(全地球測位システム)などのセンサーから膨大な量のデータを生成し、それらをリアルタイムで処理して分析し、瞬時に運転の判断を下す必要があります。

このデータパイプラインは、センサーのデータに加え、交通状況、気象データ、道路地図などの追加情報も収集します。そして、機械学習モデルで使用するためにデータをクレンジング、統合、前処理します。

パターン、障害物、道路標識を認識するようにデータを使用して学習し、人間のドライバーのように応答して交通状況をナビゲートしたり、危険を回避したり、速度を調整したりできるようにします。こうしたインサイトと継続的な学習により自動運転技術が進歩し、自動車はより賢く、より安全で、より効率的に走行できるようになるのです。

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