BI、ETL/EAI、RPA、NoCode ツールのクラウド対応戦略のもう一つの軸とは?

by Jonathan Hikita | 2023年04月17日

クラウド対応の波はすべてのソフトウェアベンダーにとって最重要の課題のひとつです。AWS、Azure、GCP などのIaaS に企業のIT 資産はますます移行し、アプリケーションもSalesforce、kintone などのSaaS を利用する企業が増えています。BI ツール、データ管理ツール、データウェアハウス(DWH)データ連携ツール、RPA、ノーコード / ローコードアプリ開発ツールなどのツール(この記事では「データ系ツール」と呼びます)も、クラウド対応をして、自社のポジションをピボットさせていく必要に迫られています。

「クラウド対応」という課題は、ツールベンダーは日々いろいろなシーンで語られます。Product Manager であれば、経営層からは「わが社もクラウド化のトレンドに乗り遅れてはならない。」と言われ、セールスからは「お客様からも契約更新にあたって今後のクラウド対応について教えてほしいと言われています。とも言われているでしょう。経営層は株主・VC から「今はクラウド対応していないと企業価値の評価もなかなか上がらない。早期に対応を。」ともいわれているかもしれません。では、行うべきクラウド対応とはなんでしょうか?

この記事では、クラウド対応という概念には「ツール自体の提供形態のクラウド化」だけでなく、「エコシステムのクラウド化」という重要な軸があることを考え、データ系ツールベンダーがユーザーの価値となる製品ピボットを行うためのCData によるコネクタ提供について紹介をしていきます。BI、データ管理、データ連携、RPA、ノーコードツールベンダーの皆様は自社のクラウド対応の検討にあたり、是非ご一読ください。

クラウド対応の2軸

一般的なクラウド対応は、提供環境のクラウド化

通常対策として取られるものは自社製品をSaaS 提供する、クラウドでオンデマンド提供する、というものです。通常は段階的に、①AWS、Azure、GCP などのIaaS の仮想マシン上に自社製品をインストールして稼働させられるようにします。これはWindows やLinux 上で動かすだけですので、テストして手順を案内する形でしょう。次に、②自社製品をIaaS ベンダーからオンデマンド提供(AWS AMI やAzure Marketplace など)できるようにするケースが多いです。IaaS ベンダーとの協業や、ツールのアップデート方法などを固める必要があります。ユーザーとしては、AWS などのサービスの中でツールが使えるようになるし、多くの場合時間単位で課金されるオンデマンド提供となることで「使いたいときに使いたい分だけ使う」ことができて、利便性が高まります。その流れで、③コンテナ提供を行えるようにしたりもします。

そしてついに④自社製品のSaaS 提供を開始するでしょう。SaaS 提供には、アプリケーション・インフラに大きな開発が必要です。欧米の大企業でもオンプレミス(インストール型)提供だったものをクラウド化・SaaS 化するには年単位の投資と努力が必要です。それでもクラウド化・SaaS 化は、ユーザーがオンデマンドで利用可能かつインフラの管理をしなくて良いという点で、企業価値を高める方法と言えるでしょう。

しかし、これでSaaS 化でクラウド対応は完了するのでしょうか?

一般的なクラウドピボット

もう一つのクラウド対応「クラウド連携」

多くの場合、ユーザーが求めるクラウド対応はツール自体のSaaS 提供だけではありません。特にBI、データ管理、DWH、データ連携といったツールの場合、「エコシステム(ツールが接続できるデータ)のクラウド化」というもう一つの軸が求められていることを意識する必要があります。ユーザーのデータがツール内で完結・CSV ファイル・ローカルDB に閉じている場合には、これらのデータに連携できることでユーザーのニーズを満たすことができました。しかし、ユーザー企業のデータがクラウドに高速に移行する現在では、データ系ツールは、ユーザーの新しいデータ格納先である、SaaS をはじめとしたクラウドデータに連携することが重要になります。データ系ツールベンダーはさらなるピボットを迫られています。

例えばどんなクラウドデータへの連携が必要?

連携すべきクラウドデータにはどのようなものがあるでしょうか?Salesforce やkintone のようなSaaS、Box やGoogle Drive のようなクラウドストレージなどがあげられます。そして、RDS やGoogle Cloud SQL のようにIaaS からマネージドサービスとして提供されるRDB、データ分析基盤として提供されるGoogle BigQuery、Amazon Redshift、Snowflake などもユーザーが接続するクラウドサービスに含まれます。これらのクラウドサービスに対するデータコネクタ機能を提供することで、BI、データ管理、DWH、データ連携(iPaaS)、ノーコード / ローコードアプリ開発ツールなどのツールは本来の価値を提供することが可能になります。クラウドBI については、ある程度DB とDWH にクラウドコネクタを絞ることも可能ですが、iPaaS、クラウドRPA では、SaaS、クラウドストレージとの接続は、その機能を果たすためには必須と言えます。

ウイングアーク1st 社のクラウドエコシステム拡張の例

日本のトップBI ツールのMotionBoard は、クラウド提供のBI ツールでしたが、CData とのパートナーシップ後に100以上のSaaS、クラウドDB にそのエコシステムを拡張しました。これにより、グローバル・ローカルのツールにいつでもつながることでユーザざーの利便性を向上させ、企業価値を高めています。

事例詳細:BI ダッシュボード「MotionBoard」にCData JDBC Drivers を組み込み

オンプレミスツールから直接クラウドコネクタ提供にピボットするケース

ツールの中には、オンプレミスにありながらクラウドデータへの接続機能を提供するポジションにピボットするケースもあります。ユーザーの志向がオンプレミスとクラウドのハイブリッドである場合、必ずしもツール自体をクラウド提供することが優先ではありません。ツール自体はこれまで通りデスクトップやサーバーにインストールしつつ、Salesforce やkintone への連携機能をことでユーザーのニーズをしっかり満たすことができます。

この右下のポジションへのピボットは、既存ユーザーの多いツールでじっくりとポジションをクラウドに移していくフェーズでは大変重要です。アプリケーションSaaS と比べて、データ管理やデータ連携は完全に自社内で、ログなどをフルで扱える環境で使いたいという志向のユーザーは大企業には多いように思えます。そのようなユーザーを持つツールでは、先にクラウドコネクタ対応を行い、その後にツール自体をクラウド提供にする、という順番も良いでしょう。

アステリアのSaaS 対応の例

日本のEAI / ETL ツールの草分けであるASTERIA Warp は、過去から多くのユーザーにインストール形式で使われています。クラウド提供も手掛けていますが、引き続きASTERIA Warp はユーザーのオンプレミス環境で基幹システムやサブシステムをつないでいます。しかし、ユーザーのアプリケーションがSaaS へとシフトする中、ASTERIA Warp は数十のSaaS・クラウドDB に接続する機能を提供し、すばらしいクラウド対応を実現されています。

「業務アプリケーションではSaaS の利用が急速に拡大しています。CRM、会計、ERP、マーケティングオートメーション、グループウェア、ワークフロー、決済などのFinTech、さらにクラウドサービスとして提供されるDB、NoSQL DB など多くの便利なサービスが提供され、多くの企業が利用しています。(中略)データ連携ツールがクラウドとのAPI 連携を機能として内包することで、ユーザーは個別のAPI を意識することなく、シームレスな連携によりマスターデータ管理やオートメーションを実現することができます。」とアステリア社の代表の平野氏。

事例詳細:ETLツールASTERIA WARP 向けカスタムアダプタをCData が開発、SaaS/Cloud DB へのシームレスな連携機能を拡充

WinActor のSaaS 対応の例

RPA ツールとしてデスクトップでのオペレーション操作をロボットで自動化しているWinActor もオンプレミス提供でありながらSalesforce、SAP S/4 HANA、ServiceNow などのSaaS との連携を強化することでクラウド化を推し進めている例です。

リリース:システム・データ連携を容易に実現する 「WinActor® Data Driver」のラインアップ拡充

CData のOEM でクラウドピボットをスピード実現

この「エコシステムがクラウド(クラウドコネクタ提供)」というポジションへのピボットは大変重要ですが、その開発は容易ではありません。クラウドデータソースはWeb API で連携を行いますが、API 連携は、種類が多く、仕様が異なり、仕様変更が頻繁に行われます。API 連携の難しさについては以下のような記事でより詳しく説明をしています:

クラウドデータ連携はココがポイント!~CTO によるドライバー技術解説 第一弾~

数年後企業はいくつのSaaS とデータ連携をしているか?~SaaS データ連携はロングテール(Long Tail)を前提なアーキテクチャを~

貴社のツールに組み込むだけのCData のコネクタでクラウド化を!

CData Software は、250種類以上のSaaS / クラウドDB に対する標準コネクタを提供しています。JDBC / ADO.NET / Python / ODBC などの広くツール側に備わっているインターフェースでコネクタを提供しているので、簡単にツールに組み込んでSalesforce やkintone をはじめとする多くのデータへの連携が短期間で実装可能です。

自社開発で3年5年をかけて数名のチームを組んでSaaS データ接続対応をリリースするより、CData のOEM を使えば、ライブラリを組み込むだけで数十~数百の人気のSaaS 連携機能を素早く市場に提供することが可能です。製品を取り巻くステークホルダー(ユーザー、パートナー、経営、株主・VC)が求めていることはまさにこのスピードではないでしょうか?

CData のコネクタは、世界で150社以上のデータ系ツールベンダーにOEM として利用され、彼らのクラウドピボットを支えています。Tableau(Salesforce)、APIgee(Google)、TIBCO Data Virtualizatio(TIBC)などグローバルトップベンダーの利用例:OEM & パートナーシップ 

クラウドデータ対応をご検討の方は、ぜひCData にご連絡ください。プロフェッショナルなメンバーが貴社のクラウドピボットをお手伝いします:お問い合わせ

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